La Bonne Pioche
ラ・ボンヌ・ピヨッシュはフランス南西のアンディヤックにあるドメーヌです。造り手のヨアン・ルジエは、妻がアメリカ人であったため、当初アメリカでソムリエをしていました。そこで、世界中のありとあらゆるワインを試飲したヨハンは、ナチュラルワインに強く引き付けられていきました。土地とそこに根差した食、そして自然を愛する二人は、フランスに戻ってドメーヌを設立。ヨアンは標準化されたワインにうんざりしていました。クラシックなものや、居心地の良い場所から抜け出して、ちょっと変わったワインを消費者に提供したいと考えていました。そこで、自身の感性のおもむくまま、そしてブドウが自発的にどうなりたいかに寄り添ってワイン造りをしています。彼が手掛けているのは、ガイヤックの地場品種主体にしたペット・ナットやオレンジ、軽やかな赤など、これまで南西ワインにはないユニークな個性を備えたワインばかりです。
Simple et Funky
サンプル・エ・ファンキー
VDF
品種:モーザック100%
手摘みで収穫したブドウをダイレクトプレス。同時に軽く足でブドウを破砕することによって極僅かに色素を抽出。野生酵母のみでグラスウールのタンクで温度管理を行わずに自発的に発酵。メトッド・アンセストラルで、アルコール発酵が完全に終了していないワインを、残糖を残して瓶詰めし、瓶内で完全にアルコール発酵を終了させる。ア・ラ・ヴォレでデゴルジュマン。ドザージュはゼロ。SO2は醸造中もデゴルジュ時も完全に無添加。2025年2月初めにデゴルジュマン。アルコール度数11度。総生産量3,000本。2025年2月時点のSO2トータルは10mg/l以下の検出限界値。ガス圧6.15気圧。
ヨアン自身のコメント:私はペット・ナットを造るのが楽しみでした。ペット・ナットの難しさは、ちょうどいいタイミングでボトリングすることです。早すぎると泡が多くなり、遅すぎると泡が足りなくなってしまうからです。美しい泡に、とても存在感のある果実味。食事のたびにこれを抜栓したいくらいです。キュヴェは文字通りシンプルでファンキーな味わいであることからサンプル・エ・ファンキーと命名しました。
Ritournelle
リトゥネル
VDF
品種:ガメィ100%
ガメィをダイレクトプレスしたペット・ナット
手摘みで収穫したブドウをダイレクトプレス。同時に軽く足でブドウを破砕することによって極僅かに色素を抽出。野生酵母のみでグラスウールのタンクで温度管理を行わずに自発的に発酵。メトッド・アンセストラルで、アルコール発酵が完全に終了していないワインを、残糖を残して瓶詰めし、瓶内で完全にアルコール発酵を終了させる。ア・ラ・ヴォレでデゴルジュマン。ドザージュはゼロ。SO2は醸造中もデゴルジュ時も完全に無添加。2024年の収穫日は9月15日。ティラージュは10月3日。2026年1月12日にデゴルジュマン。アルコール度数11.5度。総生産量300本。SO2トータルは10mg/l以下の検出限界値。ガス圧3.46気圧。
『Ritournelleリトゥルネル』とは、フランス語で『リフレイン』、『短く繰り返されるメロディー』を意味します。ロゼのペット・ナットを造ろうと思った時、毎年造れるかどうかはまだ分かりませんでした。しかし、今は2026年にまた挑戦するつもりです。このキュヴェは、毎年ではなく、時々リリースしたいと思っています。まさに、「リフレイン」のようなキュヴェであることから、このように命名しました。
Terra Vent Fuoc
テラ・ヴェントゥ・フォク
Vin de la communauté européen
品種:ユニ・ブラン1/3、マカベオ1/3、チャレッロ1/3
カタルーニャの二人のナチュラルワインの生産者とのコラボ・キュヴェ
手摘みで収穫したブドウを各ドメーヌで別々に醸造。ブドウは野生酵母のみでステンレスタンクで自発的にアルコール発酵。その後、カタルーニャのワイナリーで3品種をブレンドし、ステンレスタンクで自発的なマロ発酵と熟成。無清澄・無濾過で瓶詰め。SO2も完全に無添加。瓶詰め後、各ドメーヌにそれぞれ割り当てられた100本をラ・ボンヌ・ピヨッシュで販売。2024年の収穫日はマカベオとチャレッロが9月5日。ソーヴィニョン・ブラが9月12日。アルコール度数11度。総生産量300本。2026年2月時点の SO2トータルは10mg/l以下の検出限界値。
このキュヴェは、いつも楽しい時間を過ごす2人のカタルーニャ人の友人とのコラボレーションです。私たちは以前から、数百キロ離れた場所で栽培された3種類のブドウを100リットルずつアッサンブラージュして、それぞれの個性を味わい合うワインを造ってみようと考えていました。そして、異なる場所で生まれたワインの個性をどのように表現したいかについて話し合っていたのです。『Terra Vent Fuoc』とは、私の母国語であるオック語で、『Earth, Wind, and Fireアース・ウィンド・アンド・ファイアー』を意味します。そして、この言葉は、カタルーニャ語でもオック語でも同じ発音であることに気づいたのです。このワインが、カタルーニャとオックという異なる二つのルーツを持ちながら、まさに一体感を象徴するキュヴェであることから、このように命名しました。
En Paix
アン・ぺ
VDF
品種:モーザック100%
手摘みで収穫したブドウをダイレクトプレスして、野生酵母のみでステンレスタンクで温度管理を行わずに自発的なアルコール発酵。その後、400リットルの中樽(新樽は用いない)に移して、自発的なマロ発酵とシュールリーによる熟成。無清澄・無濾過で瓶詰め。SO2は瓶詰め時に必要最最小限のみ添加。2024年の収穫日は9月12日。アルコール度数11.5度。総生産量450本。2026年2月時点のSO2トータルは47mg/l。
『En Paix アン・ペ』とは、フランス語で「平和に」、「心安らかに」という意味です。このキュヴェには全く異なる2つの要素が融合しています。1つはモーザック種のブドウに由来する緊張感。そしてもう1つは、樽由来の温かさとスパイス感です。これらはワインにとって強すぎるかもしれない要素ですが、醸造中、濃厚になりすぎないようにバトナージュはしませんでした。このため、この2つの要素が驚くほど見事に調和しています。まさに相乗効果です。ある日、エイミーとこのワインについて話していた時、私は「このワインはまさに“平和”そのものだ。」と彼女に言いました。私たちは顔を見合わせ、うなずき合いました。
L’imprévu
ランプレヴュ
VDF
品種:ブローコル(フェル・セルヴァドゥ)100%
手摘みで収穫したブドウを100%全房のまま、野生酵母のみでグラスウールのタンクで温度管理を行わずにマセラシオン・カルボニック。マセラシオンの期間は約20日間。圧搾後、ステンレスタンクに移し、自発的なマロ発酵と熟成。無清澄・無濾過で瓶詰め。SO2は瓶詰め時に必要最最小限のみ添加。各ドメーヌにそれぞれ割り当てられた400本をラ・ボンヌ・ピヨッシュで販売。2024年の収穫日は10月5日。アルコール度数12.5度。総生産量1,200本(3人のヴィウニュロンで各400本ずつ分け合った)。2026年2月時点の SO2トータルは10mg/l以下の検出限界値。
キュヴェ名の『L’imprévuランプレヴュ』とは、フランス語で「予期せぬ出来事」という意味です。このキュヴェは、毎年同じ収穫チームを共有している他の2人の友人のヴィニュロンと一緒に造ったコラボワインです。ドメーヌでの収穫が終わり、別の友人の手伝いに行った時、彼が収穫できない1つの区画があることを話したのです。そこで、私達は3人で一緒に1つのキュヴェを造ることにしたのです。全く計画していたわけではありませんでしたが、まさに『予期せぬ出来事』となったのです。
Contemplation
コンタンプラション
VDF
品種:デュラス90%、シラー10%
ブドウは手摘みで収穫。デュラスは完全に除梗して破砕、その上から100%全房のシラーを入れて、野生酵母のみでグラスウールのタンクで温度管理を行わずに自発的に発酵。マセラシオンは最初に1回のルモンタージュを行った後はアンフュージョンの状態で15日間。圧搾後、引き続きタンクで自発的なマロ発酵と熟成。無清澄・無濾過で瓶詰め。SO2は瓶詰め時に必要最最小限のみ添加。2024年の収穫日はデュラスも9月17日。シラーが9月22日。アルコール度数11.5度。総生産量1,400本。2026年2月時点のSO2トータルは28mg/l。
『Contemplationコンタンプラション』とは、フランス語で「瞑想」という意味です。私はいつも「瞑想」という言葉がフランス語で最も美しい単語だと思っています。私にとって、誰かや何かを瞑想することほど美しいものはありません。それは、目の前の世界に身を委ね、自分の思考に身を任せ、世界が展開していく様子を眺めるという贅沢を味わえる時間です。このキュヴェを初めて味わった時、私はまさにそれを感じたのです。テーブルに寄りかかり、会話に加わることなく人々の会話を眺めながら飲むワインです。
Rage Against the Bamboche
レイジ・アゲンスト・ザ・ボンボッシュ
VDF
品種:デュラス90%、シラー10%
手摘みで収穫したブドウ(1/3は全房)を野生酵母のみでグラスウールのタンクで温度管理を行わずに自発的に発酵。マセラシオンはセミ・マセラシオン・カルボニックと1日1回のルモンタージュで20日間。圧搾後、引き続き自発的なマロ発酵熟成。無清澄・無濾過で瓶詰め。SO2は瓶詰め時に必要最小限のみ添加。2023年の収穫日はデュラスが9月8日と9日。シラーが9月10日。アルコール度数14度。総生産量3,300本。2025年2月時点のSO2トータルは29mg/l。
ヨアン自身のコメント:キュヴェ名の『レイジ・アゲインスト・サ・ボンボッシュ』とは、1990年代のアメリカのロックバンド、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(Rage Against the Machine)の名前をもじったものです。Bombocheボンボッシュとは、祖父の時代の人が使っていた古いフランス語で「パーティー」を意味する言葉です。直訳すると「パーティーに対する怒り」になります。なぜこんな名前を付けたかというと、新型コロナで外出制限になっていたある日、一人の老政治家がテレビで「もうボンボッシュ(パーティー)を止めろ!」と国民に怒鳴ったのです。この発言は、「どの口が言うのか!ボンボッシュ政治家が!」と多くのフランス人のひんしゅくを買いました。ワインは仲間と一緒に楽しむものです。国民感情から遠くかけ離れた年老いた政治家が、フランス人からパーティーの楽しみ奪うことはできません。そこで、私は『ボンボッシュ(野郎!)に対する怒り』と名付けたのです。この名前は大成功でした。私とすれ違う多くの人が「あ~、あのボンボッシュを造ってくれた人ですね」と言ってくれるからです(笑)